神さまのブログ【完結】

ライトなラノベにエントリーしてみた新城館です。 なんとか完走。星空が文字列に見えちゃう人の話です。

2014年01月

読んでくださった方々、
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

初めましての方々、
暇つぶしにどうぞ!→★第一話★

とりあえず、無事完走することができました。
人生初の完走です。

いままでも何度か物語の類を書き始めては、挫折を繰り返していたのですが、
この度、初めて書き切る事が出来ました。

これは個人的に結構うれしいです。(内容の善し悪しは、一旦置いておきます)
皆様!ありがとうございます!ありがとうございます!

反省点は多々ありますが、キリがないのと、暗くなりそうなので割愛。
とりあえず、このお話はもう一度書き直したい。


さて、
せっかく(?)なので、この話を書くキッカケになったモノを紹介します。
a.k.a.元ネタですね。

http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2013/Openspace2013/Works/Seeing_Is_Believing_j.html 
八谷和彦さんの「見ることは信じること」という作品です。

「神さまのブログ」のテーマみたいなものは、完全にこの作品から頂いたものです。

おそらくまだ初台のICCというところで無料で見れると思うので、
ぜひ見てみてください。

といっても勝手に見て、勝手に感化されただけなので、
直接な関係はありません。ただのファンです。


八谷和彦さんには、この場を借りて御礼申し上げます。
誠にありがとうございます。

そして、
書くキッカケを用意してくださったララノコンの皆様。
誠にありがとうございます。



新城館
 
 

初めてお越しの方はこちらへ→
----------------------------------------------------------------

僕の視界いっぱいに広がる星空。

絶え間なく瞬きを続け、飽きもせず尾を引き、流れ落ちる。

僕の目が治ってから、数ヶ月が経った。

季節は、夏を前にして春の陽気を段々と攻撃的なものに変えつつある頃。

この時期の気温は、
暑すぎず、寒すぎない。

今日は非常に天気も良く、絶好の天体観測日和だ。
もはや僕の庭と言っても過言ではない山の上公園で、
一人、望遠鏡のセッティングをする。

正直デブリ次第ではあるが、今日は月と木星の接近が見れるかもしれない。

「またこんなとこで星なんか見てんの?」

徐に後ろから声がかかる。
やや粗野な印象の女子の声。
バイト女子とはよくここで遭遇する。

「そっちこそこんなとこで何してるの。バイトはもうやめたんじゃないの?」

「犬の散歩だし」

そういうと、連れていた豆柴を抱えてこちらに突き出す。

コロコロとした風の体をモキモキしていて可愛い。
目がヤバい、無垢すぎてヤバい。

撫で回したくなる気持ちを抑え、再び望遠鏡のセッティングに戻る。

「僕の唯一の趣味なんだから、別にいいだろ」

「ゴミだらけの星空見て楽しいの?流れ星だって殆どデブリなのに」

「実際の星が見えない訳じゃないし。それに流れ星流れまくりで願い事し放題だよ?」

「だからそれはゴミじゃん」

「でも綺麗だよ?」

「流れすぎて有り難みないし」

「贅沢だなぁ」

贅沢だなあ。夢もない。
より手の届かいない感じが逆にイイ!みたいに思えないのかしら。
思えないか。

「……でも、この空眺めてるとさ、なんか感じるんだよね」

「……なにを?」

「んーなんだろ。想いみたいな」

もう僕が見ることのできない彼女のブログが、
未だにこの星空でたれ流されているかは、わからない。
でも、思わぬ所から現れた彼女の片鱗に驚く。

「ちょ…ちょっと。冗談だってば。
あんたに引かれるとは思わなかったわ」

「……いや、分かる。分かるよ、ミヤベの気持ち」

思わずじっとミヤベを見つめる。
言葉と視線で、理解を示す。

「……だから、冗談だってのに」

居心地悪そうに僕に背を向けると、
ボソボソと聞こえない声で何事か呟きながら、ミヤベは愛犬を撫で回す。

されるがままの豆柴(超かわいい)は、スッとミヤベの手をすり抜け、
公園の入口辺りまでトテテと走ると、そこでワンと一度吠えた。
そろそろ行こうぜ!みたいな感じで。

「じゃあ、私行くわ。あんたも早く帰りなよ」

「わかった。星見たら帰るよ」

小走りに豆柴(激マブ)の元に向かう音を聞きながら、再び望遠鏡を覗き込む。
木星がよく見えない……。

「サカグチ!」

急に名前を呼ばれ、驚いて振り向く。
「また明日、学校で」

そう言うとミヤベは、
普段の表情よりも優しく、そして無邪気に微笑んだ。



 

初めてお越しの方はこちらへ→
----------------------------------------------------------------

明けた、手術当日。


朝一で入院、手術前の検査が終わったのが、今日の昼頃だ。

「まあ手術と言ってもそんなに大げさなものじゃないし、緊張しないでね」

いつもの僕の担当医が、いつもの笑顔でそういった。
先生が今日の僕の手術も担当するそうだ。

今日は母親も同席しているので、
初めましてとか、どうかよろしくおねがいしますとか、
ペコペコと頭を下げる母親に、
それに負けず劣らずペコペコと頭を下げながら、
どうもどうもとか、任せて下さいとか言ってる先生は、少しいつもと印象が違った。

「これから手術室に入ってもらって、多分16:00頃には手術も終わると思うよ。
 麻酔が覚めて、起きた頃にはキミの眼は完全に自立することになるね」

僕に向き直ると、いつもの調子の先生が僕に説明を続ける。

「まずこの場で麻酔かけちゃうから。
 麻酔中は、むやみに動いたり、起き上がったりしないでね。
 自分では効いてないつもりでも、下半身は効いてて、転んで怪我するとかあるみたいだから」

説明を続けながら、マスクを被せられる。
少しして甘い匂いが、意識に靄をかける。

「まあゆっくり眠って、明日の朝にでもその喜びを噛み締めてね」

返事をしようとしたその刹那、意識がフッとホワイトアウトした。

次の瞬間、ハッとして目が覚める。


目がさめたのに視界は真っ暗だ。


目元を触ると、包帯が巻かれていることがわかる。

「あ、起きたんだ」

不意に母親の声が聞こえる。
おそらく母親が同じ病室で付き添ってくれているのだろう。

「手術終わった…んだよね?
今何時?」

「さっき12時を回ったところかな。あ、夜ね」

なるほど。体感的には一瞬だったのに。
麻酔すごい。いわゆる眠るとは全く違う感覚だった。

それにしても、包帯が邪魔だ……。
見えているはずなのに、なにも見えないというのは何度味わっても気分の良いものではない。
隣にいるらしい母親すら、本物かどうか怪しいもんだ。なにこの疑り深さ。

「目が覚めたみたいだね。意外と早く目が覚めたね」

不意に、先生の声が聞こえる。
急に出てくるなよ……びっくりするわ。

なんとなく声がする方に顔を向ける。

「とりあえず目はもう大丈夫なはずだから、包帯外してしまおうか。よろしく頼むよ」

横にいるらしい誰かに指示を出したかと思うと、僕の頭が何者かによって優しく支えられ、
ややドキリとする。


包帯の金具が外され、ゆっくりと包帯とその下のガーゼが外され、
目元が外気に晒されて少し涼やかだ。


ゆっくりと目を開くと、病室の電気は消えているようで、相変わらずの暗闇が広がる。

目のピントがだんだんと合っていき、
先ほど意識を飛ばした病室の壁が暗闇の中にうっすらと浮かんでいる。

そして、僕の包帯を外したのは、男の看護士であった。
女子であれよぉ。

「変に明るい時間に起きるよりも、目には優しいから、ちょうどいいかもね。どうだい調子は?」

正直暗いし、元から見えていたので、どうといわれても難しい。
あと男の看護師とか、センス無いわ。調子なんかいいわけないぞ!

「とりあえず、変わりなく見えていますね……。まあ前と変わらないんで治ったという自覚はないですけど」

じゃあ少しずつ慣らして行こうと、徐々に電気を付けていく。
少し眩しさを感じるものの、手術というよりは、
単純に暗がりから明るみに出たときの感覚と変わりはない。

なんとなく肩透かしを食らったような反応をしていると、
先生がいつもの笑顔で頷く。

「ということで、手術成功おめでとう。
 早速だけど、何か見たいものはあるかい?」

協力できないこともあるけどと付け加えて微笑んだ。
そうか、ついに自分の目で色々なものを見れるのか。

でも僕が見たいものは、もう見えない。

「そうだ、ほら。お父さんの望遠鏡出してきたよ?星でも見たら?」

なんと準備のいい母親だろう。
そう、僕は天体観測が趣味みたいに思われているのだった。
実際そういうわけではないのだが、
まあ、せっかくだしね。

「いいじゃないか天体観測。普段は危ないからしてないけど、特別に屋上を開放するよ」

どうやら先生が協力できる範疇でもあるようだし。

「じゃあそれでお願いします」


屋上の扉を開くと、厳しい寒さが階段の踊場を通り抜ける。
母親が抱えてきた幾つもの防寒着をしこたま着させられている僕でも芯から震えが来る寒さだ。

折れかけた心を奮い立たせ、扉から屋上に出て、夜空を見上げる。
暫くの間、ある種自分の力では見ていなかった星空を。
とある何かの偶然で、別の意味合いを持っていた星空を。

終わりの見えない真っ暗な暗闇に、
目眩を覚える程、無数の星が瞬き、流れ落ちた。

「今日は星が綺麗だね」

「……でもほとんどがデブリだよ」

「そうね。でも綺麗じゃない」

「うん」

そう。
完治したことによって、手に入れたもの。
完治したことによって、失ったもの。

様々な要素が重なっているためなのだろうか。

その本当はゴミだらけの星空は、
気が遠くなるほど、儚く、美しかった。

----------------------------------------------------------------
続きはこちら→

初めてお越しの方はこちらへ→
----------------------------------------------------------------

サエキ(?)とバイト女子(名前忘れた)に絡まれた一件で、
クラス中の知ることとなった僕の手術。
その日こそ若干ザワザワとしたものの、
次の日になればいつもと変わらない、いつもの学校生活だ。

手術前の一週間とは言え、いつものそれとはたいして変わることもなく、
いつもの雰囲気と速度で過ぎていった。

いや、サエキとバイト女子とは、ホームルームの前に数回話した。
インプラントは痛くないのかとか、
手術はいつだとか、
学校は休むのかとか。
それは、興味本位から生まれるちょっとした質問程度の会話だったけど、
いままでにはなかったものだろう。
かと言ってそれによって何かが変わるわけではないけれど。

そんなだいたいいつも通りの一週間をまもなく終えんとする金曜日の夜。

これで見納めだろうと、久しぶりに山の上公園に向かう事にする。

病み上がりではないものの、
数日通わなかっただけで、公園までの坂道は地味に堪える。
継続を絶っただけで、こうも体力は落ちるものかね……。
ぐぅ継続は力なり。

やや息が上がった状態で、山の上公園にたどり着く。
ついこの間まで僕から失われていた、この街一番の展望が目の前に広がる。

満天の星空に、ポツポツと文字が見える。
断片的な、内容までは把握できないようなもの、


『あ
               が         あ
  
  り
                                    。
                                   う。
          と
       あ              う              』


うん。何となく分かるわ。

ひたすら同じ言葉を並べている感じのする断片。

閲覧が困難な相手に、なにがなんでも想いを伝えようとする意志の感じる断片。


「こちらこそ、ありがとう。短い間だったけど、楽しかったよ」
 

伝わるはずのない言葉は、白い息とともに冬の星空に消えていった。

----------------------------------------------------------------
続きはこちら→ 

初めてお越しの方はこちらへ→
----------------------------------------------------------------

完治を知らされた開けの週から学校が始まった。



予定では土曜日に手術、日曜日退院ということなので、
医者には普通通り学校に行って問題無いとは言われた。

が、体は大事だしね!万全を期して学業に復帰します!

ということで月曜日はお休みすると決めた。
このことを、担任には前もって伝えておくべきだろう。

と思ったが吉日、というか吉時?
ホームルームが始まる前に伝えてしまうことにする。

教室に着くと、席にも座らず、荷物だけ置き、
颯爽と職員室に向かい、今週末に手術をすることと月曜日は休むことを伝えた。

僕の怪我の事自体は知っているため、すんなりと承諾してくれたものの、
完治の早さには驚いていたようだった。

伝えるべきことを伝えると、妙な達成感で今日はもうお終いな気がする。
まだホームルームすら始まってないけど。

ホームルームの時間が迫っている為か、やや閑散とした廊下をトボトボ進み、
既に帰りたくなっている気持ちを抑えて自分の席に座る。

まだ担任が来ていないためか、クラスメイト達は各所で雑談に耽っている。

少しして担任が教室に現れると、
各所に固まっていた様々なグループは蜘蛛の子を散らすように各々が席につき、
既に着席していた者は、顔を上げ担任を見やる。


冬休み明け初のホームルームだけあってか、退屈な話が続く。
参った、眠いわ。そう思って目を閉じる。
そのまま意識が消えかけたその刹那、肩を軽く数回叩かれた。

驚いて目を開くと、担任は相変わらず教卓の前で話を続けている。
担任じゃない?後ろ?
振り向くと、見覚えのある女子生徒がこちらを見ていた。

見覚えがあるのはクラスメイトだから当たり前。
そうではなく最近どこがであって会話をした気がする顔だ。


こう思うと、如何に普段、僕がクラスメイトと交流を図っていないかが分かる。
分かりたくはないが。

「あんた、目の手術するの?」

ん?なんで知ってるの?僕のファンなの?ストーカー?
なんて考えた後に、要点だけまとめた
言葉を返す。

「…なんで知ってんの?」

「さっき職員室いたし、そこで聞こえてきた」

「え?なんであんな時間に職員室に」

というか、この娘だれだっけ。

「べ、別にいいじゃん。関係ないでしょ」

なにそれ一方的い理不尽んん。

「こいつ、バイトしてんのバレて呼び出し食らったんだよ」

急に右の方から別の声が割り込む。

バイト?あーあのコンビニ店員か、思い出した。

しかし、割り込んできたこの男子生徒、見覚えがない。
というか、隣なのに見覚えないとか、どんだけなんだ僕。

「ちょっ、サエキ!勝手に言いふらすなし」

「というか、目の手術するんだろ?なにするんだ?別に普通に見えてそうじゃん」

「そんなズケズケ聞くないほうがいいって……」

「いいじゃんかよー、お前が聞き出したんだろ」

なんか聞かれた本人が置いてきぼり気味なんですけど。
まあ隠すほどのこともないので、ありのまま、わかり易い表現で伝える。 

「いや、矯正用の機械が目に入ってるから、それを外すんだよ」

二人が驚いたように目を見開く。

「いやいやいや!痛すぎだろそれ!!うわあああ!!」

サエキ(?)が目を押さえながら悲鳴のような声を上げた瞬間、
クラス中の視線が僕達に向けられる。

「お前ら、五月蝿い」

担任が静かにこちらを睨みつけていた。

-------------------------------------------------------------------
続きはこちら→  

このページのトップヘ